モーニング娘。を愛したい

ハロー!プロジェクトを好きになっていなかったら、今頃は実家の部屋のすみで枝毛むしりをライフワークにしていたかもしれません。
ご存知でしょうか、ハロー!プロジェクト

Juice=Juiceやアンジュルムは耳慣れなくても、モーニング娘。を知らない人はいないと思います。
ちょうどわたしが小学生のころ爆発的な人気を誇り、休み時間には同級生の女の子たちが教室の後ろで「ザ☆ピ~ス!」を踊っていました。
わたしはと言えば「つじかご? 江戸時代の乗りものかなにか?」というレベルで興味がなく、いま思えばもったいなかったな~~と後悔するばかりです。リアタイでW(ダブルユー)観たかった。
この頃を振り返って、黄金期と呼ばれることもあります。

絶頂まで駆け上った人気に陰りが見え始めたころのモーニング娘。には、俗にプラチナ期と呼ばれる世代が集結します。
メディア露出は極端に減ったもののメンバーの入れ替えもなく、それぞれが個々のスキルを存分に磨き、高いクオリティのパフォーマンスでファンを魅了しました(アイドル戦闘民族だとわたしは思ってます)。

 


[1080P中日字幕]モーニング娘-SONGS

 

そして現在。2014年からモーニング娘。はその年をグループ名に冠するようになりました。
モーニング娘。'14(ワンフォー)の誕生です。
2013年に田中れいなさんが卒業し、黄金期・プラチナ期を経験しているのは道重さゆみさんただ1人。
なっちも、ゴマキも、高橋愛新垣里沙もいない。
2014年はモーニング娘。にとってまさしく勝負の年でした。

道重さんは田中れいなさんが卒業してから1人、10才近く年の離れたメンバーたちを育て、かわいがってきました。
印象的なのは、フジテレビのドッキリ企画。
メンバー全員で泊まっていた部屋の壁が翌朝倒れてステージになり、早朝詰めかけたファンの前で、寝起き5秒で行ったコンサート。
道重さんの面倒見のよさやメンバーのあどけなさを垣間見ることができ、つらいことがあった日はこの動画を20回くらい再生しています。
当時のモーニング娘。は道重さんによって支えられていたのだろうと、想いを馳せる時間です。

 

 

道重さゆみさん。年を経るごとに美しくなっていく彼女の、でもあんなにもふっくらと愛らしかった丸い頬が少しずつ痩せていくのを、ファンは不安げに見守るしかありませんでした。
そして2014年11月26日、ついに彼女は青春のすべてを捧げたモーニング娘。を卒業します。その理由は、実に彼女らしいものでした。
「『よし! 私、今日もかわいいぞ!』というコメントがギャグ化する前に、リアルにかわいいうちに卒業したいんです」
12年に及ぶアイドル生活、モーニング娘。歴代最長の在籍日数でした。

わたしは彼女ほど自分自身を客観視できるアイドルを知りません。
2014年はCDの売り上げもよく、道重さんの卒業が発表される前は紅白の出場をも期待されていました。
もう少しいてほしい、絶対みんなそう思いましたよね。わたしは嘆願書を出そうと思ったくらいです。
でも彼女のアイドルとしてのアイデンティティである「可愛い」を貫くため、そしてなにより自分の卒業を糧に、後輩たちに成長してもらうため、卒業を決めたのだとつんく♂さんは語ります。
モーニング娘。は歴史を背負い、先輩を見送り、新しいメンバーを迎え、アイドルの頂点に息衝くグループだからです。

モーニング娘。'14コンサートツアー秋 GIVE ME MORE LOVE ~道重さゆみ卒業記念スペシャル~』、会場は道重さんが「今のメンバーにこの景色を見せてあげたかった」と言う、奥の奥まで超満員の横浜アリーナ
可愛さのピークを今日に合わせてきた、という道重さんは気品にあふれ、どこまでも美しかった。
しかし22分という殺人的なメドレーの途中、事件は起こります。

わたしは毎日最寄り駅の階段を上るだけでも死にそうになっているドン底運痴なので、22分間踊り、生歌で歌い続けるというのはどれくらい大変なのか、もはや想像さえできません。
このメドレーの途中、道重さんは自身の代表曲のひとつでもある「ラララのピピピ」で苦悶の表情を見せます。
12年間モーニング娘。に尽くしてきた、徹頭徹尾かわいいアイドルのプロフェッショナル、道重さゆみのラストステージ。
なんで今!? とこむらがえり界の神を問い詰めたい。道重さんの足は動かなくなってしまいました。

次の曲、「A B C D E-cha E-cha したい」(どうしたんだっていうタイトルですがめっちゃいい曲)は花道を通った先の、サブステージでのパフォーマンス。
でも痛めた足は動かない。
異変を感じ取った一部のファンの、張り裂けそうな声援の中、道重さん以外のメンバーが堰を切ったように花道へと駆け出します。
満面の笑顔、きりりとした横顔、ぎりぎりで涙をこらえる顔、それぞれの表情は異なるものの、全員が覚悟を決めたように見えました。
道重さんをセンターステージに置いて行く、9人で前に進んで行く、その覚悟。モーニング娘。'14から、モーニング娘。'15への脱皮の瞬間だったのかもしれません。

 


4K モーニング娘。'14 <スペシャルメドレー>

 

あれから時は流れ、モーニング娘。も半年前から’19(ワンナイン)になりました。
そして、新メンバー3名が加入したのです。
彼女たちは「モーニング娘。’19 LOVEオーディション」の合格者。

モーニング娘。として活躍してきたメンバーたちが積み上げた歴史を、現メンバーが引き継いでさらに成長させ、次の世代に受け渡していく。それがモーニング娘。というアイドル。
同じ瞬間なんて二度とない、いまを生きるアイドルです。

道重さんの卒業コンサートツアーのサブタイトルは、GIVE ME MORE LOVE。
いちファンにすぎないわたしですが、これからもモーニング娘。を応援していきたい。
もっと好きになりたい。もっと愛したい。
この「LOVEオーディション」で加入した新しいメンバーが、道重さんも心から愛したモーニング娘。というグループをどんなふうに進化させてくれるのか、今から楽しみでなりません。